加重移動平均線
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
加重移動平均線(Weighted Moving Average, WMA)は、金融市場におけるテクニカル分析の手法の一つで、価格データに異なる重みを付けて平均を計算する移動平均線です。これにより、最新のデータにより大きな重みを与えることができ、価格の変動をより敏感に捉えることが可能になります。
加重移動平均線(WMA)の計算方法
- 重みの設定:
- 各価格データに対して重みを設定します。重みは通常、最新のデータに大きな値を与え、過去のデータには小さな値を与えます。
- 例えば、5期間のWMAを計算する場合、最新のデータから順に5, 4, 3, 2, 1という重みを与えます。
- 価格と重みの積の計算:
- 各期間の価格データとその重みを掛け合わせます。
- 積の合計を計算:
- 各期間の価格と重みの積を合計します。
- 重みの合計を計算:
- 重みの合計を計算します。
- 加重移動平均の計算:
- 価格と重みの積の合計を重みの合計で割ります。
計算式
加重移動平均線(WMA)は、以下の計算式で求められます。
ここで、
- (Pi) は i 番目の価格データ
- (Wi) は i 番目のデータに対する重み
- (n) はデータの期間(例えば、5期間のWMAなら n = 5)
例
5期間の加重移動平均を計算する場合を例にとります。
- 価格データ: 105, 110, 108, 115, 120
- 重み: 1, 2, 3, 4, 5
計算の手順は以下の通りです。
- 各期間の価格と重みの積を計算します:
- 105 * 1 = 105
- 110 * 2 = 220
- 108 * 3 = 324
- 115 * 4 = 460
- 120 * 5 = 600
- 積の合計を計算します:
- 105 + 220 + 324 + 460 + 600 = 1709
- 重みの合計を計算します:
- 1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 15
- 加重移動平均を計算します:
- WMA = 1709 / 15 ≈ 113.93
したがって、最新の5期間の価格データに基づく加重移動平均線は約113.93となります。
加重移動平均線の利点
- 最新データへの感度が高い
- 最新の価格データに大きな重みを与えるため、市場の最新動向を敏感に反映します。
- トレンドの把握
- 価格のトレンドをより迅速に把握するのに適しています。
加重移動平均線の欠点
- 複雑な計算
- 単純移動平均線(SMA)に比べて計算が複雑です。
- ノイズの影響
- 最新のデータに敏感であるため、市場のノイズ(短期的な価格変動)にも反応しやすいです。
比較
単純移動平均線(SMA):
- すべてのデータに均等な重みを与える。
- 計算が簡単だが、最新の価格変動に対する感度が低い。
指数移動平均線(EMA):
- 直近のデータに指数的に大きな重みを与える。
- 最新の価格変動に対して敏感だが、計算がやや複雑。
実際の利用
加重移動平均線は、他の移動平均線と組み合わせて使用されることが多いです。例えば、短期のWMAと長期のSMAを組み合わせてトレンドの確認や取引シグナルを検出することができます。また、他のテクニカル指標(RSI、MACDなど)と併用することで、取引の精度を高めることができます。
まとめ
加重移動平均線(WMA)は、最新のデータに大きな重みを与えることで、市場の変動をより敏感に捉えることができるテクニカル指標です。トレンドの把握や市場の最新動向を追うのに適しており、他の移動平均線やテクニカル指標と組み合わせて使用することで、取引の精度を向上させることができます。
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