ATR(Average True Range)
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
ATR (Average True Range) について
ATR(Average True Range)は、テクニカル分析において市場のボラティリティを測定するための指標です。J. Welles Wilder Jr.によって考案され、彼の著書『New Concepts in Technical Trading Systems』で紹介されました。ATRは特定の期間内の価格の変動幅を平均化することで、価格の変動性を評価します。
ATRの計算方法
ATRの計算には以下の手順が含まれます:
- True Range(TR)の計算
- TRは、現在の高値と安値の差、前日の終値と現在の高値の差、前日の終値と現在の安値の差の中で最も大きい値です。
- 計算式
- TR=max[(高値−安値), abs(高値−前日終値), abs(安値−前日終値)]
- Average True Range(ATR)の計算
- 最初のATRは、指定された期間のTRの単純平均です。
- 次のATRの計算
- ATRt=((前日ATR x (n-1))+ TRt) / n
- ここで、nは期間、TRt は当日のTrue Range、ATRt は当日のAverage True Rangeです。
ATRの解釈
- 高いATR値
- 市場が非常にボラティリティが高いことを示します。価格の大きな変動が予想され、トレーダーはこれに対して警戒する必要があります。
- 低いATR値
- 市場が比較的静かであることを示します。価格の変動が少ないため、トレーダーはこの期間にリスクが少ないと感じるかもしれません。
ATRの利用方法
- ストップロス設定
- ATRを使用してストップロスを設定することができます。例えば、ATRの1.5倍の値を現在の価格から引いたり加えたりしてストップロスを設定します。これにより、市場のボラティリティに応じたリスク管理が可能です。
- トレンドの判断
- ATRは、価格の変動性に基づいてトレンドの強さを判断するために使用されます。ATRが上昇している場合、トレンドが強くなる可能性があります。逆に、ATRが下降している場合、トレンドが弱くなる可能性があります。
- エントリーポイントとエグジットポイントの決定
- ATRを利用して、適切なエントリーポイントやエグジットポイントを決定することができます。特にブレイクアウト戦略では、ATRを使用して価格の変動幅を予測し、取引のタイミングを見極めます。
具体例
- 例1:ストップロスの設定
- あるの銘柄のATRが2ドルの場合、エントリーポイントから2ドル下の価格にストップロスを設定することで、市場の変動に対するリスクを管理できます。
- 例2:ブレイクアウト戦略
- レートが重要なサポートラインを突破する場合、そのときのATRを基にしてエントリーポイントを決定し、期待される変動幅を予測して利益目標を設定します。
まとめ
ATR(Average True Range)は、市場のボラティリティを測定し、トレーダーがリスクを管理するための重要なツールです。高いATRは高ボラティリティ、低いATRは低ボラティリティを示し、ストップロスの設定やトレンドの判断に役立ちます。適切に利用することで、トレーダーは市場の動向に応じた取引戦略を立てることができます。
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