「FX会社の信託保全」と「銀行のペイオフ制度」の対比
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
日本における「FX会社の信託保全」と「銀行のペイオフ制度」について、比較して解説します。
Contents
保護の対象
FX会社の信託保全
- FX口座に預けているすべての資産が保護の対象となります。
- 具体的には、預託された証拠金、実現損益、未実現損益、スワップ損益から未払い手数料と出金予定額を差し引いた額が対象です。
- 外貨で預託された証拠金も円換算して保護の対象となります。
銀行のペイオフ制度
- 預金保険の対象となる預金等に限定されます。
- 当座預金、普通預金、定期預金などが対象となりますが、外貨預金や金融債(保護預り専用商品以外)は対象外です。
保護の範囲
FX会社の信託保全
- 原則として、保護の対象となる資産の全額が保護されます。
銀行のペイオフ制度
- 決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスを提供できる預金)は全額保護されます。
- 一般預金等は、1人当たり元本1000万円までとその利息が保護されます。
- 1000万円を超える部分は、破綻金融機関の財産状況に応じて支払われます(一部カットされる可能性あり)。
銀行預金の意味とは
銀行預金に金利が期待できず、保護限度額に1,000万円という上限が設定されてしまった今、1,000万円を超える金額を銀行に預金する意味を考えることは重要です。生活費として手を付けない、いわゆる「貯金」が1,000万円を超える方は、全額信託保全が完備されている国内FX会社にお金を置いておく方が安全であると言えます。
保護の仕組み
FX会社の信託保全
- FX会社は顧客の資産を自社の財産と完全に分離し、信託銀行等に分別保管します。
- FX会社が破綻した場合、受益者代理人を通じて顧客に直接資産が返還されます。
銀行のペイオフ制度
- 金融機関が破綻した場合、預金保険機構が保険金を支払う「保険金支払方式」と、他の金融機関に事業を譲渡する「資金援助方式」があります。
- 資金援助方式が優先的に適用され、保険金支払方式の発動はできるだけ回避されます。
制度の特徴
FX会社の信託保全
- 2009年8月に施行された金融商品取引業等に関する内閣府令の改正により義務化されました。
- 日本国内の全てのFX会社に適用されます。
銀行のペイオフ制度
- 預金保険法に基づいて運営されています。
- 預金保険機構が制度の運営主体となっています。
まとめ
FX会社の信託保全は、顧客の資産を全額保護することを目的としており、FX取引特有のリスクに対応した制度です。一方、銀行のペイオフ制度は、一般的な預金者保護を目的としており、保護の範囲に制限があります。両制度とも顧客の資産を保護する重要な役割を果たしていますが、その対象や範囲、仕組みに違いがあります。
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