プットオプション(Put Option)

2024年9月19日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

プットオプション(Put Option)は、特定の価格(行使価格、ストライクプライス)で、特定の期間内または満期日に基礎資産を売る権利を買い手に与えるデリバティブ契約です。プットオプションの買い手は、価格が下落した際に利益を得ることができます。以下に、プットオプションの基本概念、利益と損失、戦略、および利点と欠点について詳しく説明します。

プットオプションの基本概念

基本的な要素

基礎資産(Underlying Asset)
オプション契約の対象となる資産。株式、通貨、商品、指数などがあります。
行使価格(Strike Price)
プットオプションを行使して基礎資産を売却することができる価格。
満期日(Expiration Date)
プットオプションが有効な期間の最終日。
プレミアム(Premium)
プットオプションの買い手が売り手に支払う価格。このプレミアムは、オプションの価値を示します。
行使(Exercise)
プットオプションの権利を実行して基礎資産を売却すること。

プットオプションの利益と損失

買い手の視点
利益:基礎資産の市場価格が行使価格を下回ると、オプションを行使して利益を得ることができます。具体的には、(行使価格 – 市場価格 – プレミアム)が利益となります。
損失:オプションが行使されない場合でも、支払ったプレミアムは損失となります。最大損失はプレミアムに限定されます。
売り手(発行者)の視点
利益:買い手がオプションを行使しない場合、受け取ったプレミアムが利益となります。
損失:基礎資産の市場価格が行使価格を下回ると、買い手がオプションを行使するため、(行使価格 – 市場価格 – プレミアム)が損失となります。損失は理論上無限大です。

プットオプションの例

example
基礎資産:XYZ社の株式
行使価格:$50
満期日:3ヶ月後
プレミアム:$5
シナリオ1:株価が$40に下落
オプション行使価格:$50
市場価格:$40
利益:($50 – $40 – $5)= $5
買い手はオプションを行使して、$5の利益を得ます。
シナリオ2:株価が$55に上昇
オプション行使価格:$50
市場価格:$55
オプションは行使されず、買い手はプレミアムの$5を損失します。

プットオプションの戦略

プロテクティブプット
投資家が保有する株式の下落リスクをヘッジするためにプットオプションを購入します。株価が下落した場合でも、プットオプションの利益で損失を相殺できます。
ベアプットスプレッド
同じ基礎資産に対して異なる行使価格のプットオプションを同時に購入および売却します。例えば、高い行使価格のプットオプションを購入し、低い行使価格のプットオプションを売却します。この戦略は、株価の下落を予想し、リスクと利益を制限します。
ショートプット
プットオプションを売却する戦略です。基礎資産の価格が行使価格以上で推移することを予想します。プレミアムを受け取り、オプションが行使されなければ利益となります。
カバードプット
基礎資産のショートポジションを保有しながらプットオプションを売却する戦略です。ショートポジションの利益を確保しつつ、プレミアムを受け取ることができます。

プットオプションの利点と欠点

利点

リスク管理
プットオプションを使用して、保有する資産の下落リスクをヘッジできます。
利益追求
価格が下落する市場環境で利益を得るための手段となります。
レバレッジ

欠点

プレミアムのコスト
オプションの購入にはプレミアムが必要であり、オプションが行使されなければこのコストは損失となる。
時間価値の減少
オプションは時間の経過とともに価値が減少するため、短期間で価格が下落しないと利益を得にくい。
複雑さ
オプション取引には専門的な知識が必要であり、リスクとリターンの評価が難しい。

まとめ

プットオプションは、特定の価格で基礎資産を売る権利を持つデリバティブであり、リスク管理や投機目的で広く利用されています。プットオプションを購入することで、基礎資産の価格下落に対して利益を得ることができますが、プレミアムの支払いが必要であり、時間の経過とともに価値が減少するリスクも伴います。適切な戦略とリスク管理を行うことで、プットオプションを効果的に活用することができます。

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