ピボットポイント(Pivot Points)

2024年9月19日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

ピボットポイント(Pivot Points)は、テクニカル分析において市場の全体的なトレンドを判断するための指標です。ピボットポイントは、特定の期間(通常は前日の高値、安値、終値)に基づいて計算され、価格のサポートおよびレジスタンスレベルを特定するために使用されます。以下に、ピボットポイントの基本概念、計算方法、利点とデメリット、および具体的な使用例について詳しく説明します。

ピボットポイントの基本概念

定義
ピボットポイントは、前日の高値、安値、終値を基に計算される価格レベルで、市場の全体的なトレンドを示します。トレーダーは、このレベルを基にサポートおよびレジスタンスレベルを特定し、トレード戦略を立てます。
サポートとレジスタンス
ピボットポイントを中心に、上方にレジスタンスレベル(R1、R2、R3)、下方にサポートレベル(S1、S2、S3)が設定されます。これらのレベルは、価格が反転する可能性のあるポイントを示します。

ピボットポイントの計算方法

ピボットポイント(P)の計算
ピボットポイントは、前日の高値(High)、安値(Low)、終値(Close)を基に計算されます。

P = (High + Low + Close) / 3
レジスタンスレベルの計算
レジスタンス1(R1):
R1 = 2P – Low

レジスタンス2(R2):
R2 = P + (High – Low)

レジスタンス3(R3):
R3 = R2 + (High – Low)
サポートレベルの計算
サポート1(S1):
S1 = 2P – High

サポート2(S2):
S2 = P – (High – Low)

サポート3(S3):
S3 = S2 – (High – Low)

ピボットポイントの利点

シンプルさ
ピボットポイントの計算方法は非常にシンプルで、前日の価格データを基に簡単に計算できます。
多用途性
デイトレード、スイングトレード、長期投資など、さまざまなトレードスタイルに適用可能です。異なる時間枠(1日、1週、1月など)でも使用できます。
明確なエントリーおよびエグジットポイント
ピボットポイントとそのサポートおよびレジスタンスレベルは、トレーダーに明確なエントリーポイントとエグジットポイントを提供します。

ピボットポイントのデメリット

市場の変動に対する感度
ピボットポイントは、前日の価格データに基づいて計算されるため、急激な市場の変動やニュースイベントには反応しづらいです。
他の指標との併用が必要
ピボットポイントは、他のテクニカル指標(移動平均線、RSI、MACDなど)と併用して使用することが推奨されます。単独での使用は誤ったシグナルを生成する可能性があります。
時間枠の依存性
適用する時間枠によって結果が大きく異なる場合があります。異なる時間枠での分析が必要です。

ピボットポイントの具体例

例1:日足のピボットポイント
前日の高値:1.1500
前日の安値:1.1300
前日の終値:1.1400
ピボットポイント(P)の計算
P = (1.1500 + 1.1300 + 1.1400) / 3 = 1.1400
レジスタンスおよびサポートレベルの計算
レジスタンス1(R1):
R1 = 2 x 1.1400 – 1.1300 = 1.1500

レジスタンス2(R2):
R2 = 1.1400 + (1.1500 – 1.1300) = 1.1600

レジスタンス3(R3):
R3 = 1.1600 + (1.1500 – 1.1300) = 1.1800

サポート1(S1):
S1 = 2 x 1.1400 – 1.1500 = 1.1300

サポート2(S2):
S2 = 1.1400 – (1.1500 – 1.1300) = 1.1200

サポート3(S3):
S3 = 1.1200 – (1.1500 – 1.1300) = 1.1000

まとめ

ピボットポイント(Pivot Points)は、テクニカル分析において市場の全体的なトレンドを判断し、価格のサポートおよびレジスタンスレベルを特定するための重要な指標です。この指標は、シンプルかつ多用途であり、トレーダーに明確なエントリーポイントとエグジットポイントを提供します。しかし、他のテクニカル指標と併用し、異なる時間枠での分析を行うことで、より効果的なトレード戦略を構築することができます。

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