非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls)
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls, NFP)は、米国の労働市場の健康状態を評価するための重要な経済指標の一つです。この指標は、農業部門を除くすべての業種における雇用者数の増減を示し、毎月発表されます。NFPは、経済成長、消費者信頼感、金融市場、政策決定などに大きな影響を与えます。
Contents
非農業部門雇用者数の基本概念
- 定義:
- 非農業部門雇用者数は、米国の農業以外の部門で働く雇用者数の増減を示す指標です。具体的には、製造業、建設業、サービス業、政府部門などが含まれます。
- 発表主体:
- 米国労働省の労働統計局(Bureau of Labor Statistics, BLS)が毎月第一金曜日に発表します。
- 対象範囲:
- 農業部門を除くすべての業種が対象となります。また、軍事関係の雇用も除外されています。
非農業部門雇用者数の重要性
- 労働市場の健康状態:
- NFPは、米国の労働市場の健康状態を評価するための主要な指標です。雇用者数の増減は、経済の成長や縮小を反映します。
- 経済成長の指標:
- 雇用者数が増加している場合、経済成長の兆候とみなされます。雇用が増えると、消費者の収入も増加し、消費活動が活発化します。
- 金融市場への影響:
- NFPは金融市場に大きな影響を与えます。予想を上回る結果が出た場合、経済成長が強いと判断され、株式市場やドルが上昇する傾向があります。逆に、予想を下回る結果が出た場合、株価やドルが下落することがあります。
- 政策決定への影響:
- 連邦準備制度(FRB)は、金利政策を決定する際にNFPを重要な指標として使用します。雇用者数の増減は、金利の引き上げや引き下げの判断材料となります。
非農業部門雇用者数の発表とその解釈
- 発表のタイミング:
- NFPは毎月第一金曜日に発表されます。発表されるのは前月のデータで、午前8時30分(米東部時間)に公開されます。
- データの内容:
- 発表されるデータには、雇用者数の増減、失業率、平均時給の変動などが含まれます。これらのデータは総合的に分析され、労働市場の現状を評価するために使用されます。
- データの解釈:
- 雇用者数が増加している場合、経済成長の兆候とみなされます。特に、予想を上回る増加はポジティブな経済指標とされます。
雇用者数が減少している場合、経済の減速やリセッションの兆候とみなされます。特に、予想を下回る減少はネガティブな経済指標とされます。
非農業部門雇用者数の具体例
- 例1:雇用者数の増加
- 発表データ:雇用者数が前月比+250,000人
解釈:雇用者数の増加は、経済が成長していることを示しています。企業が積極的に雇用を拡大しているため、消費者の収入が増加し、消費活動が活発化する可能性があります。
- 例2:雇用者数の減少
- 発表データ:雇用者数が前月比-50,000人
解釈:雇用者数の減少は、経済が減速していることを示しています。企業が雇用を減らしているため、消費者の収入が減少し、消費活動が停滞する可能性があります。
非農業部門雇用者数の計算方法
- データ収集:
- BLSは、全国の企業や政府機関からデータを収集します。サンプル調査に基づいて全国の雇用状況を推定します。
- 季節調整:
- データは季節的な変動を考慮して季節調整されます。これにより、年間を通じてデータの比較が可能になります。
- 調査方法:
- NFPのデータは、企業調査(エスタブリッシュメント・サーベイ)と家計調査(ハウスホールド・サーベイ)に基づいています。企業調査は雇用者数と賃金に関するデータを提供し、家計調査は失業率に関するデータを提供します。
まとめ
非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls, NFP)は、米国の労働市場の健康状態を評価するための重要な指標です。この指標は、農業部門を除くすべての業種における雇用者数の増減を示し、経済成長、消費者信頼感、金融市場、政策決定に大きな影響を与えます。毎月発表されるNFPのデータを理解し、適切に解釈することは、投資家や経済分析者にとって重要です。
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