インターバンク市場

2024年8月15日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

インターバンク市場(Interbank Market)は、銀行同士が直接取引を行う金融市場のことを指します。主に外国為替取引(FX取引)や短期資金の貸借を目的として、銀行間で行われる取引です。この市場は、金融システムの安定性と効率性を支える重要な役割を果たしています。

インターバンク市場の基本概念

主な取引対象
外国為替取引(FX):銀行間で異なる通貨を交換する取引。これにより、国際的な資金移動が円滑に行われます。
短期資金市場:銀行間で短期の資金の貸借を行う市場。コール市場や短期金融市場も含まれます。
取引の特徴
相対取引:インターバンク市場の取引は相対取引(OTC取引)であり、取引所を介さずに銀行同士が直接交渉して取引を行います。
大口取引:取引規模が非常に大きく、通常は数百万ドルから数十億ドル単位で行われます。
匿名性:取引の当事者同士が直接交渉するため、取引の詳細が公にされることはありません。

インターバンク市場の機能

流動性の提供
インターバンク市場は、銀行間で大量の資金を迅速に移動させることができるため、金融システム全体に流動性を提供します。
価格発見
市場参加者が提示する為替レートや金利は、インターバンク市場での取引を通じて形成されます。このため、インターバンク市場は価格発見機能を果たします。
リスク管理
銀行はインターバンク市場を利用して、外国為替リスクや金利リスクを管理します。ヘッジングやポジションの調整が行われます。

インターバンク市場の主要参加者

商業銀行
国内外の取引を行うために、インターバンク市場で積極的に取引を行います。
中央銀行
市場の安定化を図るために介入することがあります。また、政策金利の調整を通じて市場に影響を与えます。
投資銀行
大規模な取引を行い、市場の流動性を提供します。
ヘッジファンドおよび投資ファンド
大規模な取引を行い、市場の流動性を提供します。
大企業
国際取引や資金調達のためにインターバンク市場を利用することがあります。

インターバンク市場の取引形態

スポット取引
即時の通貨交換を行う取引。通常、取引が成立した2営業日後に決済されます。
フォワード取引
将来の特定の日付に、あらかじめ決められた為替レートで通貨を交換する取引。
スワップ取引
異なる通貨を一定期間交換し、将来再び元の通貨に戻す取引。
短期資金取引
コール市場や短期金融市場での資金の貸借。翌日物から1年以内の短期資金が取引されます。

インターバンク市場の利点と課題

利点
効率的な資金移動:大規模な資金移動が迅速かつ効率的に行われます。
高い流動性:市場の取引規模が大きく、流動性が高いため、取引の成立が容易です。
価格の透明性:インターバンク市場で形成される価格は、公正で透明性が高いとされています。
課題
信用リスク:取引相手がデフォルトするリスクがあります。特に、金融危機時には信用リスクが高まります。
市場の集中:大手銀行に取引が集中するため、市場の支配力が特定の参加者に偏るリスクがあります。
規制の必要性:市場の安定性を維持するために、適切な規制と監視が求められます。

インターバンク市場の例

外為市場のインターバンク取引
ある日本の商業銀行がアメリカの投資銀行と米ドル/円のスポット取引を行う場合、為替レートを交渉し、取引を成立させます。この取引は通常、2営業日後に決済されます。
短期資金市場のインターバンク取引
ある銀行が他の銀行から翌日物の短期資金を借りる場合、金利を交渉して資金を調達します。翌日に返済が行われます

まとめ

インターバンク市場は、銀行同士が直接取引を行う重要な金融市場であり、外国為替取引や短期資金の貸借を目的としています。市場の参加者は、商業銀行、中央銀行、投資銀行などであり、流動性の提供、価格発見、リスク管理といった機能を果たしています。インターバンク市場の取引は相対取引であり、大口の取引が特徴です。この市場は、金融システムの効率性と安定性を支える重要な役割を担っており、その理解は金融市場全体の理解にとって不可欠です。

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