FIFO(First In First Out)
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
FIFO(First In, First Out)は、在庫管理および会計におけるコストフローの方法の一つです。この方法では、最初に購入または生産された在庫が最初に販売または使用されると見なされます。FIFOは、特に価格が変動する商品の在庫管理において、在庫評価や利益計算に重要な役割を果たします。以下に、FIFOの基本概念、仕組み、利点とデメリット、および具体例について詳しく説明します。
Contents
FIFOの基本概念
- 定義:
- FIFO(First In, First Out)は、在庫管理および会計において、最初に購入または生産された在庫が最初に販売または使用されると見なす方法です。
- 適用範囲:
- FIFOは、製造業、小売業、物流業など、多くの業界で在庫管理およびコストフローの計算に使用されます。
- 在庫評価:
- 在庫の評価において、FIFOは、古い在庫が先に出荷されるため、在庫の評価額が最新の購入価格に近くなることが一般的です。
FIFOの仕組み
- 購入または生産:
- 企業が在庫を購入または生産すると、その在庫は購入または生産された順に記録されます。
- 販売または使用:
- 最初に購入または生産された在庫が最初に販売または使用されます。これにより、在庫の流れが先入れ先出し(First In, First Out)となります。
- 在庫評価:
- 在庫評価時に、最も古い在庫が最初に計算に使用され、残りの在庫は最新の購入価格に基づいて評価されます。
FIFOの利点
- 在庫の新鮮さ:
- 古い在庫が先に出荷されるため、在庫の回転率が高くなり、商品の鮮度や品質を維持できます。これは特に食品業界などで重要です。
- 財務報告の透明性:
- FIFOは、最新の購入価格に基づいて在庫を評価するため、財務報告がより現実的な価格を反映します。
- インフレ時の利益向上:
- 物価上昇期には、古い低価格の在庫が最初に販売されるため、利益が高くなる傾向があります。
FIFOのデメリット
- コストの過小評価:
- インフレ時には、古い低価格の在庫が最初に販売されるため、売上原価が低くなり、税負担が増加する可能性があります。
- 在庫管理の複雑さ:
- FIFO方式は、在庫管理が複雑になり、特に多品種少量生産の場合は、管理コストが増加する可能性があります。
- 現金流出の増加:
- 古い在庫が最初に販売されるため、現金流出が増加する可能性があります。
FIFOの具体例
例1:在庫の購入と販売
- 購入:
- 1月:100個の商品を単価10ドルで購入
2月:100個の商品を単価12ドルで購入 - 販売:
- 3月:150個の商品を販売
在庫評価:
- 最初に購入した100個(単価10ドル)の在庫が最初に販売されるため、売上原価は100個 × 10ドル = 1,000ドル
- 次に、2月に購入した100個のうち50個(単価12ドル)の在庫が販売されるため、売上原価は50個 × 12ドル = 600ドル
- 合計売上原価:1,000ドル + 600ドル = 1,600ドル
- 残りの在庫:50個 × 12ドル = 600ドル
例2:価格変動の影響
- 購入:
- 1月:100個の商品を単価10ドルで購入
2月:100個の商品を単価15ドルで購入 - 販売:
- 3月:100個の商品を販売
在庫評価:
- 最初に購入した100個(単価10ドル)の在庫が最初に販売されるため、売上原価は100個 × 10ドル = 1,000ドル
- 残りの在庫:100個 × 15ドル = 1,500ドル
まとめ
FIFO(First In, First Out)は、在庫管理および会計において、最初に購入または生産された在庫が最初に販売または使用されると見なす方法です。この方式は、在庫の新鮮さを維持し、財務報告の透明性を高める利点がありますが、インフレ時の税負担増加や在庫管理の複雑さといったデメリットも存在します。FIFOの仕組みとその影響を理解し、適切に適用することは、企業の在庫管理および財務管理において重要です。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません