DMI(Directional Movement Index)

2024年9月19日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

DMI(Directional Movement Index)は、トレンドの強さと方向を評価するためのテクニカル指標で、J. Welles Wilderによって開発されました。DMIは、トレンドフォロー型の指標であり、価格の上昇または下降の方向性を示すことで、トレーダーがトレンドの発生や持続性を判断するのに役立ちます。

DMIの基本構成

+DI(プラス方向性指数)
上昇方向の動きを示す指標です。特定期間(通常14日)の価格変動のうち、上昇部分を計算して示します。
-DI(マイナス方向性指数)
下降方向の動きを示す指標です。特定期間の価格変動のうち、下降部分を計算して示します。
ADX(Average Directional Index)
トレンドの強さを示す指標で、+DIと-DIの値の差を利用して計算されます。ADXの値が高いほど、トレンドの強さが強いことを示します。

DMIの計算方法

DM(Directional Movement)の計算
高値と安値の変動を基に、+DMと-DMを計算します。
+DM = 当日の高値 – 前日の高値
-DM = 前日の安値 – 当日の安値
+DMが0以下の場合は0に設定します。
-DMが0以下の場合は0に設定します。
TR(True Range)の計算
TR = 最大値(当日の高値 – 当日の安値、当日の高値 – 前日の終値、前日の終値 – 当日の安値)
+DIと-DIの計算
+DI = (14期間の+DMの合計 / 14期間のTRの合計) × 100
-DI = (14期間の-DMの合計 / 14期間のTRの合計) × 100
ADXの計算
DX = (| +DI – -DI | / ( +DI + -DI )) × 100
ADXは、一定期間(通常14日)のDXの移動平均を取ります。

DMIの解釈

トレンドの方向
+DIが-DIを上回る場合、上昇トレンドが示唆されます。
-DIが+DIを上回る場合、下降トレンドが示唆されます。
トレンドの強さ
ADXの値が高い(20以上)場合、トレンドの強さが強いことを示します。値が低い(20以下)場合、トレンドが弱いか、レンジ相場であることを示します。
トレードシグナル
+DIが-DIを上抜ける場合、買いシグナルとして解釈されます。
-DIが+DIを上抜ける場合、売りシグナルとして解釈されます。

DMIの利点

トレンドの強さと方向を評価
DMIは、トレンドの方向性だけでなく、トレンドの強さも評価できるため、トレーダーが市場の状況を総合的に判断するのに役立ちます。
トレンドフォロー型の戦略に適合
DMIは、トレンドフォロー型の戦略に適しており、トレンドの発生や持続性を見極めるのに効果的です。
多用途性
DMIは、株式、通貨、先物など、さまざまな市場で利用できる汎用的な指標です。

DMIのデメリット

ラグ効果
DMIは過去の価格データに基づいて計算されるため、トレンドの変化に対する反応が遅れることがあります。
レンジ相場での精度低下
トレンドが明確でないレンジ相場では、DMIの信頼性が低下し、誤ったシグナルを生成することがあります。
他の指標との併用が必要
DMI単独ではなく、他のテクニカル指標(移動平均、RSI、MACDなど)と併用することで、シグナルの信頼性を高める必要があります。

DMIの具体例

例1:買いシグナル
状況:株価がレンジ相場から上昇トレンドに転換する際、+DIが-DIを上抜け、ADXが上昇し始めます。
解釈:この状況は、上昇トレンドの開始を示し、買いシグナルと解釈されます。トレーダーはこのシグナルを基に買いポジションを検討します。
例2:売りシグナル
状況:株価が上昇トレンドから下降トレンドに転換する際、-DIが+DIを上抜け、ADXが上昇し始めます。
解釈:この状況は、下降トレンドの開始を示し、売りシグナルと解釈されます。トレーダーはこのシグナルを基に売りポジションを検討します。

まとめ

DMI(Directional Movement Index)は、トレンドの強さと方向を評価するためのテクニカル指標で、トレンドフォロー型の戦略に適しています。+DIと-DIはトレンドの方向を示し、ADXはトレンドの強さを示します。トレンドの発生や持続性を見極めるための有効なツールですが、ラグ効果やレンジ相場での精度低下に注意が必要です。他のテクニカル指標と併用することで、より信頼性の高いトレード戦略を構築することが可能です。

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