DD(Dealing Desk)

2024年8月15日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

DD(Dealing Desk)は、外国為替取引(FX取引)におけるブローカーの取引方式の一つで、ブローカーがディーラー(ディーリングデスク)を通じて顧客の注文を処理する方式です。この方式では、ブローカーが顧客の取引の反対側に立つことが多く、取引の実行や価格設定に直接関与します。以下に、DD方式の基本概念や仕組み、その利点とデメリットについて詳しく説明します。

DD(Dealing Desk)の基本概念

定義
DD(Dealing Desk)は、ブローカーがディーラーを通じて顧客の注文を処理する取引方式です。ブローカーは顧客の注文を内部でマッチングしたり、市場に流したりします。
ブローカーの役割
DDブローカーは、顧客の注文をディーリングデスクで処理し、取引の実行や価格設定に関与します。ブローカーは顧客の取引の反対側に立つこともあり、スプレッドや手数料を収益源とします。
注文の流れ
顧客が注文を出すと、DDブローカーはその注文を内部で処理します。ブローカーは注文を他の顧客の注文とマッチングするか、リスク管理のために自ら取引の反対側に立つことがあります。

DDの仕組み

内部処理
DDブローカーは、顧客の注文を内部でマッチングします。顧客の買い注文と売り注文をブローカー内部で相殺することで、市場に流す必要がなくなります。
マーケットメイキング
DDブローカーは、顧客の取引の反対側に立ち、自ら市場の価格を設定します。これにより、ブローカーはスプレッドをコントロールし、収益を上げることができます。
リスク管理
ブローカーは、顧客の注文を内部で処理することでリスクを管理します。市場の状況に応じて、ブローカーは一部の注文を市場に流すこともありますが、基本的には内部でリスクを管理します。

DDの利点

安定したスプレッド
DDブローカーはスプレッドを固定できるため、顧客は取引コストを予測しやすくなります。特に、市場のボラティリティが高い場合でも、安定したスプレッドが提供されることがあります。
迅速な注文執行
顧客の注文が内部で処理されるため、注文の執行が迅速に行われます。これにより、スリッページ(注文価格と実行価格の差異)が最小限に抑えられることがあります。
小規模取引の対応
DDブローカーは、小規模な取引にも対応しやすく、個人投資家や小規模トレーダーにとって利用しやすい環境を提供します。

DDのデメリット

利益相反の可能性
ブローカーが顧客の取引の反対側に立つため、利益相反の問題が生じることがあります。ブローカーは、自らの利益を優先して取引を操作するリスクがあります。
透明性の欠如
DD方式では、ブローカーが内部で注文を処理するため、取引の透明性が低くなります。顧客は、実際にどのように注文が処理されているかを確認することが難しくなります。
価格操作のリスク
ブローカーが市場価格を設定するため、価格操作のリスクがあります。特に、顧客の損失を利用してブローカーが利益を上げる可能性があります。

DDとNDDの比較

取引の透明性
NDD(No Dealing Desk)方式では、取引が市場に直接流れるため、透明性が高くなります。DD方式では、取引が内部で処理されるため、透明性が低くなります。
利益相反
NDD方式では、ブローカーが取引の反対側に立たないため、利益相反の問題が回避されます。DD方式では、ブローカーが取引の反対側に立つため、利益相反のリスクがあります。
スプレッドと手数料
NDD方式では、スプレッドが変動することが多く、取引手数料が発生することがあります。DD方式では、スプレッドが固定されることが多く、手数料はスプレッドに含まれることが一般的です。

まとめ

DD(Dealing Desk)は、ブローカーがディーラーを通じて顧客の注文を処理する取引方式です。この方式では、ブローカーが顧客の取引の反対側に立ち、取引の実行や価格設定に直接関与します。DD方式には、安定したスプレッドや迅速な注文執行などの利点がありますが、利益相反や透明性の欠如といったデメリットも存在します。DD方式とNDD方式の違いを理解し、自分に適した取引環境を選ぶことが重要です。

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