カバー取引とマリー取引の違い
執筆者
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
カバー取引とマリー取引は、FX会社がリスク管理を行うための重要な手法ですが、その仕組みと目的に違いがあります。
Contents
カバー取引(Cover Transction)
カバー取引は、FX会社が顧客の注文に対して、外部の金融機関と反対の取引を行うことです。
主な特徴
- FX会社が外部の金融機関(カバー先)と取引を行う
- 顧客の注文と同量・反対の取引を行うことでリスクをヘッジする
- 為替変動リスクをFX会社から外部に移転する
目的
- FX会社の為替リスクを軽減する
- 顧客との利益相反を回避する
例えば、顧客が100万ドルの買い注文を出した場合、FX会社はカバー先に対して100万ドルの売り注文を出します。
マリー取引(Internal Matching)
マリー取引は、FX会社が自社内で顧客の売り注文と買い注文を相殺することです。
主な特徴
- FX会社内部で行われる取引
- 同一通貨ペアの売り注文と買い注文を突き合わせて相殺する
- 外部との取引は発生しない
目的
- 取引コストの削減
- 効率的なポジション管理
例えば、ドル円で50万ドルの買い注文と40万ドルの売り注文がある場合、40万ドル分をマリー取引で相殺し、残りの10万ドルをカバー取引します。
主な違い
カバー取引とマリー取引の違いについて、端的に見てみましょう。
比較項目 | カバー取引 | マリー取引 |
---|---|---|
取引相手 | 外部の金融機関 | FX会社内部の顧客注文 |
リスク管理方法 | 外部への移転 | 内部での相殺 |
コスト | カバー先との取引コストが発生 | 追加コストは基本的に発生しない |
取引量 | 顧客注文の全量または一部 | 相殺可能な範囲内 |
実行タイミング | 顧客注文後またはリアルタイム | 注文受付時に即時実行可能 |
FX会社は通常、マリー取引で相殺できない部分についてカバー取引を行い、総合的なリスク管理を行っています[7]。このように、カバー取引とマリー取引は補完的な関係にあり、FX会社の安定的な運営と顧客の取引環境の維持に重要な役割を果たしています。
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