コンタンゴ(Contango)

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

コンタンゴ(Contango)とは、先物取引市場における価格構造の一つで、将来の先物価格が現在のスポット価格(現物価格)よりも高い状態を指します。この状態は、商品市場や金融市場でよく見られ、特に商品先物取引(原油、金、農産物など)において重要な概念です。

コンタンゴの基本概念

スポット価格と先物価格:
スポット価格は、即時に商品を受け渡す取引の価格です。一方、先物価格は将来の特定の時点に商品を受け渡す契約に基づく価格です。
コンタンゴの状態:
コンタンゴは、将来の先物価格が現在のスポット価格を上回る状態です。これは、商品を将来にわたって保有するコスト(例えば保管費用、保険、金利など)が価格に反映されるために発生します。

コンタンゴが発生する要因

保管コスト(Carrying Costs):
商品を将来のある時点まで保有するには、保管費用や保険費用、そして資本コストがかかります。これらのコストが、将来の先物価格に上乗せされるため、先物価格がスポット価格よりも高くなります。
供給と需要の予測:
市場参加者が将来の供給不足や需要増加を予測している場合、先物価格が高く設定されることがあります。これは、将来に対する期待が価格に反映されるためです。
リスクプレミアム:
市場参加者が将来の不確実性に対してリスクプレミアムを要求する場合、先物価格がスポット価格より高くなることがあります。これは、リスクを負うことに対する対価としての追加コストです。

コンタンゴの影響

投資戦略への影響:
コンタンゴの状態では、先物価格がスポット価格を上回っているため、投資家が先物契約をロールオーバーする際にコストがかかることがあります。これを「ロールオーバーコスト」と呼びます。特に、長期間にわたって先物を保有する場合、これが累積して大きなコストとなる可能性があります。
投資商品のパフォーマンスへの影響:
原油などの商品に投資する上場投資信託(ETF)や商品ファンドなどは、コンタンゴ状態でパフォーマンスが悪化することがあります。これは、先物契約を次の期日にロールオーバーする際に、毎回より高い価格で契約を更新する必要があるためです。

コンタンゴとバックワーデーションの違い

コンタンゴ:
将来の先物価格が現在のスポット価格を上回る状態。
主に保管コストやリスクプレミアムが価格に反映されて発生。
バックワーデーション(Backwardation):
将来の先物価格が現在のスポット価格を下回る状態。
供給不足や即時の需要増加などにより発生することが多い。

具体例

原油市場のコンタンゴ:
原油市場では、将来の供給が潤沢であると予測される場合、コンタンゴ状態が発生することがあります。例えば、原油の保管コストが高く、将来の価格がこれを反映して上昇する場合、先物価格は現物価格より高くなります。
ETFにおけるコンタンゴの影響:
原油ETFがコンタンゴの市場で運用されている場合、ファンドが先物契約をロールオーバーするたびに、次の契約をより高い価格で購入しなければならず、ファンドの価値が時間とともに減少するリスクがあります。

まとめ

コンタンゴは、先物市場において将来の価格が現在の価格より高くなる現象を指し、保管コスト、リスクプレミアム、需要予測などが主な原因です。この状態は、特に商品市場や投資商品(ETFなど)において重要であり、投資戦略に影響を与えるため、理解しておくことが重要です。

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