差金決済(Cash Settlement)

2024年8月15日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

差金決済(さきんけっさい、Cash Settlement)は、金融取引や商品取引において、実際の現物の受け渡しを行わず、取引の結果生じた損益のみを現金で清算する方法です。この方法は、主に先物取引やオプション取引、差金決済取引(CFD)などで使用されます。差金決済は、取引を簡素化し、現物の受け渡しに伴うコストや手間を省くことができます。

差金決済の基本概念

取引の成立
投資家は、取引所やブローカーを通じて特定の金融商品や商品の取引契約を結びます。この契約では、将来のある日時に基づいて価格差を清算します。
ポジションの保有
投資家は、買いポジション(ロング)または売りポジション(ショート)を保有します。ポジションは、将来の価格変動によって利益や損失が発生します。
決済の実行
決済日に、取引の開始価格と終了価格の差を基に、損益が計算されます。この損益は現金で清算され、実際の現物の受け渡しは行われません。

差金決済の例

例1:株式先物取引

取引の開始
投資家Aは、株式先物契約を購入し、100株の株式を将来のある日付において1株あたり$50で買う契約を結びます。
価格変動
決済日が近づくにつれ、株価が変動し、最終的に決済日に$55になったとします。
差金決済
投資家Aの契約価格は$50で、決済日の市場価格は$55です。投資家Aは$5(= $55 – $50)× 100株 = $500の利益を得ます。この利益は現金で受け取ります。

例2:差金決済取引(CFD)

取引の開始
投資家Bは、CFDを通じて、金価格が1オンスあたり$1,800の時に買いポジションを取ります。
価格変動
金価格が上昇し、決済日には$1,850になったとします。
差金決済
投資家Bは、価格差$50(= $1,850 – $1,800)× 取引量に応じた利益を得ます。この利益も現金で清算されます。

差金決済の利点と欠点

利点

簡素化
実際の現物の受け渡しが不要なため、手間とコストを省くことができます。
流動性の向上
差金決済は、より多くの市場参加者を引き付け、取引の流動性を高めます。
レバレッジの利用
少額の証拠金で大きなポジションを取ることができるため、レバレッジを効かせた取引が可能です。
リスク管理
実物の保有リスクや保管コストを避けることができます。

欠点

損失の可能性
レバレッジを利用することで、損失も拡大する可能性があり、大きなリスクを伴います。
取引コスト
スプレッドや手数料が発生するため、取引コストが増加することがあります。
市場リスク
突発的な市場変動により、予期しない損失が発生するリスクがあります。

差金決済の実際の利用

先物取引
商品先物取引(例えば、原油や金など)や金融先物取引(例えば、株式指数先物)において、差金決済が広く利用されています。
オプション取引
オプション取引においても、差金決済が利用され、実際の資産の受け渡しを行わずに利益や損失を現金で清算します。
CFD取引
差金決済取引(CFD)は、株式、指数、コモディティ、通貨などの価格差を利用して取引を行う金融商品です。CFD取引は、実際の資産を保有せずに、価格変動から利益を得ることができます。

まとめ

差金決済は、現物の受け渡しを行わずに取引の結果を現金で清算する方法で、主に先物取引やオプション取引、CFD取引などで利用されます。差金決済の利点には、取引の簡素化、流動性の向上、レバレッジの利用、リスク管理が含まれますが、一方で損失の可能性や取引コスト、市場リスクなどの欠点も存在します。投資家は、これらの利点と欠点を理解し、適切なリスク管理を行いながら差金決済を利用することが重要です。

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