NDD(No Dealing Desk)

2024年9月19日

執筆者

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269

NDD(No Dealing Desk)は、外国為替取引(FX取引)において、ディーラー(ディーリングデスク)を介さずに取引を行う方式のことを指します。この方式は、取引の透明性を高め、公正な取引環境を提供するために利用されます。以下に、NDDの基本概念やその利点、仕組みについて詳しく説明します。

NDD(No Dealing Desk)の基本概念

定義
NDD(No Dealing Desk)は、FX取引においてブローカーがディーラーを介さずに、顧客の注文を直接市場に流す取引方式です。これにより、ブローカーは取引の反対側に立たず、顧客の利益相反を避けることができます。
ブローカーの役割
NDDブローカーは、顧客の注文をインターバンク市場や流動性プロバイダーに直接流します。これにより、ブローカーは市場仲介者としての役割を果たし、取引の実行速度や透明性を向上させます。
注文の流れ
顧客が注文を出すと、NDDブローカーはその注文を市場に流します。市場で最良の価格が提供され、注文が実行されます。ブローカーはスプレッドや手数料を収益源とします。

NDDの仕組み

インターバンク市場へのアクセス
NDDブローカーは、多数の銀行や流動性プロバイダーと提携しており、顧客の注文を直接これらのプロバイダーに流します。これにより、顧客は市場での最良価格を享受できます。
注文のマッチング
顧客の買い注文と売り注文は、市場で直接マッチングされます。ブローカーは、注文を処理するための取引プラットフォームを提供し、取引の透明性を確保します。
スプレッドと手数料
NDDブローカーは、取引の実行に対してスプレッド(売買価格の差)や手数料を収益源とします。スプレッドは固定または変動することがありますが、取引の透明性が高いため、顧客は実際の市場価格で取引することができます。

NDDの利点

取引の透明性
NDD方式は、顧客の注文が直接市場に流れるため、取引の透明性が高くなります。ブローカーは市場操作を行わないため、顧客は公正な取引環境を享受できます。
利益相反の回避
ブローカーが顧客の取引の反対側に立たないため、利益相反の問題が回避されます。これにより、顧客の利益が優先される取引が行われます。
高速な注文執行
NDDブローカーは注文を迅速に市場に流すため、注文執行速度が速くなります。これにより、スリッページ(注文価格と実行価格の差異)が最小限に抑えられます。
市場の流動性の向上
顧客の注文がインターバンク市場に直接流れるため、市場の流動性が向上します。これにより、取引の成立率が高まり、取引コストが低減します。

NDDの種類

STP(Straight Through Processing)
STPブローカーは、顧客の注文を直接市場に流す方式です。ブローカーは複数の流動性プロバイダーからの価格を集め、最良価格で顧客の注文を実行します。
ECN(Electronic Communication Network)
ECNブローカーは、顧客の注文を電子取引ネットワークを通じて市場に流します。ECNでは、銀行、機関投資家、個人トレーダーが同一のプラットフォームで取引を行い、流動性が提供されます。

NDDのデメリット

スプレッドの変動
NDDブローカーは変動スプレッドを提供することが多く、市場のボラティリティが高まるとスプレッドが拡大することがあります。これにより、取引コストが予測しづらくなる場合があります。
手数料の発生
一部のNDDブローカーは、スプレッドに加えて取引手数料を請求することがあります。これにより、総取引コストが増加する可能性があります。
流動性の依存
NDDブローカーは流動性プロバイダーに依存しているため、プロバイダーの提供する価格や流動性に影響を受けることがあります。市場の状況によっては、注文の実行が難しくなる場合があります。

まとめ

NDD(No Dealing Desk)は、ディーラーを介さずに顧客の注文を直接市場に流すFX取引方式です。NDDブローカーは、取引の透明性を高め、公正な取引環境を提供するためにこの方式を採用します。NDDには、STPやECNといった種類があり、それぞれに特有の利点とデメリットがあります。NDD方式の理解と適切な利用は、トレーダーにとって重要です。

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